2013年9月28日
今週は水曜日にペルー南部の都市Arequipa周辺でマグニチュード6.9の地震が発生、幸い死者は出なかったものの、最終的に18人の負傷者・947人が被災・186軒が倒壊したと報じられています。
ニューヨークでの国連総会に出席していたウマラ大統領も帰国後直ちにNadine夫人を伴って被災地入りし、被害の状況を視察すると共に、被災者に対して応援のメッセージを送っています。
このスピーチで大統領は「損害の様子を確認したが、被災した皆さんは誰かの助けが来るまで待つのではなく、自発的に現場を片付け、一刻も早く正常な生活を取り戻す努力をしてください」と語っています。
“Debemos sobreponernos al sismo”, afirmó Humala en visita a Arequipa (ウマラはアレキパで「我々は地震を克服しなければならない」と」語る)
これまでも書いてきましたが、ペルーではベネズエラと同様か、それ以上に他力依存の傾向が強く、生活に困ったら先ず援助を求める風潮があるように思われます。
フジモリ政権までの長年に亘る社会主義色の濃い政策(逆に見ればポピュリズムを逆手に取って援助をバラ撒き、一方で搾取する手法)の所為で、未だに社会主義的扇動集団をのさばらせ、利権のある場所ならどこにでも移り住んで居住権を主張し、地域政府や企業・中央政府に補償を求める、というのが一部貧困層の生活スタイルになっている訳です。
今回のウマラ大統領の演説は、その意味ではこれまでの前例を覆した、地域に自立を求めるメッセージであり、好感が持てます。
被災した南部地域は本来ウマラ大統領の支持基盤であり、これまでウマラ氏は電気やガスの無料化推進のような発言で人気取りを重ねてきました。今回の自立発言がどのように受け止められるか?未知数ですし、被災地への国家レベルの支援は間違いなく重要ですが、大きな格差社会であるペルーに於いてもこうした災害をバネに復興を果たし、目先の巧言令色に惑わされない大衆層が増えることを期待します。
ところで、被災した地域の写真が幾つかの新聞に掲載されていましたが、やはり地震で被害が出るのは煉瓦で作られた建物です。
現在はまだ被害の状況を調査している最中であり、詳しいレポートは出ていませんが、2007年8月15日にリマの南、IcaやPiscoの街を壊滅的に破壊したM7.9の地震については、多くの報告書が上がっています。
中でも興味深いのはコロンビア国立大学のHPに掲載されている「焼き煉瓦と日干し煉瓦の耐震性」に関する論文です。
これによると、この地震で被災した地域の約四割が日干し煉瓦の建物で、焼き煉瓦よりも耐震性に劣るのでは?との疑問に対して調査を行った結果、明らかに劣後するという結論には至らなかった様です。確かにリマ市内の新築の建設現場を見ても、焼き煉瓦の品質は劣悪で、積み上げた煉瓦の山がいびつな形になっている様子を見ると、煉瓦素材のみで高層化が進むリマこそ、最も地震に対して脆弱なのではないか?と強い懸念を抱かざるを得ません。
他方、最貧層の人たちの住居は以下の写真に示されたような板張りの掘立小屋で、地震の際にはこうした簡易家屋の方が被害が小さいのでは?とも考えられます。 http://publimetro.pe/actualidad/17027/noticia-onu-considera-que-peru-puede-alcanzar-meta-reducir-pobreza-20-2016 日本が世界に誇る耐震技術を今こそ南米に売り込むチャンスと見るのは阿漕と言われますでしょうか?
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