2012年12月29日
いよいよ2012年も最後の週末を迎え、リマの街も先週までのクリスマスから、新年を迎える準備に切り替わっています。
学校が夏休みに入った為に、街中の渋滞は若干緩和されていますが、一方で所々で始まった道路脇の建設工事の所為で、幹線道路であり通勤路でもあるJavier Prado通りは相変わらずの混雑ぶりを発揮しています。
渋滞で止まったクルマの中から周りの様子を見ると、乗り合いバス(日本で言うミニバンはCombi、マイクロバスはCoasterと呼ばれています)のボディにPróspero Año Nuevo!という大きなステッカーが貼ってあり、漸く夏らしくなってきた陽光の下、なるほどこれが南半球の新年か、と妙に感心させられています。(前任地、ベネズエラのカラカスは同じ南米ですが、北緯約10度の北半球、リマは南緯12度。)
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因みに、上の写真はコンビ。コースターはトヨタのマイクロバスの商標ですが、ペルーでは一般名詞化しており、あらゆるメーカーのマイクロバスがコースターと呼ばれています。
上のURLは中古マイクロバスの販売サイトですが、日産・三菱だろうと韓国製だろうと、すべてCoasterという範疇で売っています。販売価格は全て米ドル建て。新車もソル建てとドル建ての両表示が一般的です。
さて、今週末は渋滞緩和の切り札として、市内を流れるRimac川の川底の下に建設中だったバイパス道路の工事で発生した隔壁崩壊が大きなニュースとなっています。
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川の真ん中の立てた隔壁で、川を左右に分離し、片方を閉鎖して残り片方で水を流し、閉鎖した方の川底を掘り下げて道路を造り、これが完成したら逆の方を堰き止めて同じ作業を行う、という工法なのですが、まだ半分の工事を行っている最中に、増水した水圧に隔壁が耐えられなくなり崩壊、道路工事部分が冠水している様子です。
(写真が見えない場合、上のURLをクリックして下さい。)
リマは元来土漠の中の都市で、中東の多くの街同様に年中放水車が緑地に散水することで、市内の緑を人工的に保っていて、逆に水に乏しい街という印象が強いのですが、このRimac川だけはアンデスから流れてくる水を運んで雨季になると相応の水量を見せてくれます。ただ、一年の多くの時期にはかなり水位は低く、土漠の枯川といったイメージを見せてもいる訳で、正直言ってこのニュース写真を見て、こんなに水量があったのか!と驚いたものです。新聞記事によりますと、この隔壁の想定最大水量は120立米/秒であったのに対し、実際には128立米/秒の水量を計測し、想定外の水量となって隔壁破壊に繋がったとのこと。世界中どこでも、「想定外」は土木技術のキーワードになりそうです。
日本でも高速道路のトンネル天井板が崩落する事故が発生したばかりですが、土地不足を解消する為に編み出された画期的工法が、その工事途中で大きな欠点(雨季の予想以上の増水に耐えられない!)をさらけ出したことは、今後の公共工事だけでなく、民間の高層建築工事にも少なからず影響を与えることになりそうです。
最近も小さな地震がペルーのあちこちで発生している反面、見るからに貧弱な構造の縦長建造物が街中に増えている様子を見ていると、主都リマに人・モノ・カネが集中するペルーの社会基盤は必ずしも盤石とは言えないという不安を抱かせると同時に、日本の技術がまだまだ売れるという強い確信を持たせてくれるように思えます。
本日の言葉のPrósperoというのは繁栄している、盛運の、富裕なという意味の形容詞。これに対する英語はProsperousですが、謹賀新年の対訳はHappyで少し奥ゆかしい印象になりましょうか。
あちこちで新築・改修の工事が行われ、元気なイメージのペルーではぴったりの新年挨拶の言葉と言えるかも知れません。(ベネズエラではHappyの対語Felizが主流でした。)
では2012年のご厚誼に改めて御礼申し上げますと共に、2013年の一層のご支援をお願いして、年末のご挨拶とさせていただきます。 Próspero Año Nuevo!
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