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  • 執筆者の写真Kaz Suzurida

ベネズエラの言葉 Trabajo(トラバホ)=仕事、労働  英:Work, Job

2012年4月28日

4月もあっと言う間に最後の週末となりました。

元々は一人日本に残した長男や仕事仲間に近況を伝え、またここで使われているスペイン語を伝えようと2008年9月に始めた「ベネズエラの言葉」も3年半を経過、間もなくペルーへ転勤となりますので残り少なくなりましたが、これも振り返るとあっと言う間という気がします。

さて、今週の言葉Trabajoですが、毎年恒例5月1日のメーデー(May Day)を控え、新労働法(Ley Orgánica del Trabajo、LOTと略されます)が各紙のトップ記事として扱われています。

今週水曜深夜に療養先のハバナから一旦帰国したチャベス大統領が、昨晩Twitterを通じて発表した、とされるところに拠りますと、労働時間の短縮や、不当解雇の禁止、出産後の権利の保護など一見すると社会主義政権として当たり前の労働者視線での新法発布という風に見えます。

しかし、実際には労働者側からの訴えを基に、経営者を罰するという政府管理の強化が主眼であるとの見方が大勢的であり、経営側の反発は大きく、ここでまた「豊かな資本家」対「貧しい労働者」の対立を煽る現政権の二極化政策が進化していることを感じさせる内容になっています。

大統領は今晩再び放射線治療の為にキューバに旅立つと伝えられていますが、今回のカラカス"滞在中"に大衆の前に姿を見せたり肉声を聞かせることはないまま、Twitterでいくつかのメッセージを流しただけでまた出かけることになりそうな気配ですが、街頭では赤いシャツに身を包んだ大統領支持派の大衆が、新労働法を支持するデモ行進を行うことになっています。

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一方、チャベス政権の13年間でベネズエラから逃避した外貨高は1,315億ドルに上り、それ以前の50年間に逃避した金額を18%も上回るとの報道がなされています。

もともと、ベネズエラ経済は超輸入依存型であり、石油や金属といった原料の輸出で食糧を始めありとあらゆる物資を輸入に頼り、国内生産の育成を怠ってきた歴史があり、常に入超の外貨バランスが、安定的に年率20-30%のインフレを助長して来た訳です。

単純に見れば、毎年の輸入額が輸出額を三割超過するので、通貨ボリーバルの価値がドルに対して3割下落、インフレとなる、という構造ですが、何故それで国が破産しないか?というと、輸出されている原油や金属の相場が上がり続け、数年後には過去の債務を弁済できる水準の収入確保されるからなのです。

一方、それに合わせて何故か支出も増やしているので、負の連鎖から脱却出来ない、と言うのが、この国の経済が終わらない宴会型と言われる所以です。

社会主義の推進で企業を国営化し、無駄な支出を減らして国内産業を振興しよう、と政府は努力していますが、実際に国営化された企業は、政府から送り込まれた経営を知らない軍人経営者によって破綻し、停滞した国内生産を補う為に輸入品でカバーすることで、益々外貨支出が増えるという構造で、どこかで歯止めを効かせないと、次の資源バブル崩壊の際に大変な問題が発生することになるのは明白です。

ただ、豊富な天然資源があるので、原資が尽きることは無く、この安心感が負の連鎖を止められない最大の要因である以上、まだまだ宴会は続くと見て良いのかも知れません。

今ここで国の経済を本気で建て直す為には先ず、労働者に権利の主張ばかりを刷りこむのではなく、労働の大切さをしっかりと再教育し、ブラジルの様に国内産業を活性化することが最も重要なポイントであると思われますが、新労働法には祝日を増やす案も盛り込まれており、これが発効すると増えた休日とばら撒かれたフードチケットで、本当に宴会が増えることになり、益々働けないデブが増えることになりそうです。

一刻も早く大統領が身体と心の健康を回復され、正しい道に国民を導いて下さることを心から祈るばかりです。 アーメン。

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