2010年6月26日
今週は、銀行による支払い遅延が話題になりました。
大統領の肝いりで中小行を統合して発足させたBanco Bicentenario(二百周年銀行)の支払い遅延率が5月比2ポイントアップの18.54%となり、その他多くの中小規模銀行を中心に軒並み貸付を縮小し、また支払いが遅延するケースが増加しているという話が、「La morosidad es uno de los grandes problemas del sistema financiero público.」(支払い遅延は公共金融制度にとっての最大の問題の一つ)として報じられました。
更に「Recesión nacional golpea al crédito」(全国的景気後退が与信を直撃)として、消費者がクレジットカードの使用を控え、自動車ローン等を借りなくなっているとしています。
ベネズエラでは、インフレが年率30%超であるのに対し、預金利率が12%程度で、貯金をしても利子がインフレに追いつかない為に、預金者は一般には消費に必要な最低金額を当座預金で維持しているのが一般的で、資産を保護する手段としては、現金を不動産や自動車・美術品などの有形資産に置き換えるのが一般的な性向となっています。
先に反体制派テレビ局との関係を問われ、業務停止を命じられたBanco Federalの預金者の96%が預金残高Bs.F30,000以下で、如何に銀行預金が庶民から指示されていないか、を表すデータとなりました。
一方で、クレジットカードの使用は、カード保有者も年率で20%以上のコスト負担を強いられる為、一見不利な決済条件のように感じられますが、それ以上にインフレ率が高いことから、消費者側からは一般的に是とされてきた訳です。
しかし銀行の決済遅延を嫌う店舗側が即時決済のデビットカード(購入代金が即時銀行口座から引き落とされる)や現金のみを扱う姿勢を強め、クレジットカードの利便性が落ちた結果、使用率が昨年同期比で2.5%減少しているとのこと。
クレジットカードはベネズエラ人が海外に行く際に、市中で調達する(Bs.F8-10/$)よりは安価なレート(Bs.F4.30/$)でドルを調達するには必須のアイテムである為に、保有率は高いのですが、国内で使用できる店舗が減ってくると、大統領が好まない海外旅行できる特権階級のみが使用するモノ、という定義となって、次の攻撃対象になる危険性も指摘され始めています。
ところで、今週も食品コンテナの放置問題が取りざたされる一方で、政府側はこのニュースは反対派によるネガティブキャンペーンであると非難を浴びせ、責任の転嫁にやっきになっています。また、放置コンテナから発見された中国から輸入した粉ミルクからメラミン成分が検出され、中国が自国内で問題になったコンタミ粉ミルクをベネズエラで処分しようとしていた実態も判明、いよいよ政府は苦しい対応を迫られてきています。
Comentarios