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  • 執筆者の写真Kaz Suzurida

ベネズエラの言葉 Libro y Revista(リブロ&レビスタ)=本と雑誌

2009年6月6日

朝通勤のクルマのラジオから”嘆かわしいニュース”としてこういう内容の紹介がありました。

『学校教科書の本(Libro de texto)を輸入するという名目で為替の優遇レート(Bs.F2.15/$)を取り付けた輸入業者が、実際にはコロンビアから猥褻な内容の雑誌(Revista de pornografía)を輸入し、これに並行レート(最近約Bs.F6.3/$)で値付けをして販売し、不当な利益を上げていた』というものです。

最近ベネズエラの民主主義に新たな疑問符を付けた反政府系テレビ局”Globovision”の社長の自宅には24台の日本製自動車が新車のまま保有され、これも「優遇レートを不当に悪用し、並行レートでの販売で暴利を貪ろうとした」として政府から攻撃を受けており、同社長は逮捕・拘留されています。(一般的な新車の市販価格はBs.F10万~30万!リッターカーでも優遇で割ると1台5百万円と、シンガポール並みの値段です。)

この事件と教科書・猥褻雑誌事件とは何の関係もありませんが、昨年後半の原油価格暴落に端を発し、実勢経済への評価が下がるにつれ、固定された政府優遇レートと実力を示す平行レートとの差は開くばかりです。政府は外貨の不足から優遇レートで輸入できる商品の品目を大幅に削減しており、自動車や本に限らず、殆どの商品が実際には並行レートで値付けされている今日、一見極端に見えるインフレは為替のコントロールに失敗した政策から並行レートの下落に連動しており、今のベネズエラでBs.F2.15/$を「公定レート」と認めている人は居ないのが実態です。

最大の国営企業PDVSAですら国内で発生する費用の支払いには並行レートを適用しており、このレートの利用そのものには違法性は無いものの、中途半端な優遇レート制度が存在するために多くのひずみが発生、これが汚職の温床にもなってきたことから、政府も優遇レート認定局(CADIVI)に集中していた優遇レート認定作業を各省庁に割り振る方針を打ち出しています。

これまで雑誌の輸入にも優遇レートが適用されるケースが多く、市中で販売されているナショナルジオグラフィックなどはBs.F10で販売されており、2.15で割っても割安、6で割ると極めて格安な雑誌ということになっている一方、何故か教科書代は高い!と学生には不評です。

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