2010年9月25日
いよいよ日曜に総選挙(国会議員165議席の総改選)を控え、選挙ムード一色になってきました。
木曜の朝刊にAnuncian Ley Seca y prohibición de porte de armas para los comicios(選挙に備え禁酒法と武器携行の禁止を発表)という記事が掲載されました。
Ley Seca(直訳すると”Seca=乾燥+Ley=法”)というのは、選挙の他にSemana Santa(復活祭)等の宗教行事の際にも施行される法律で、酔っ払いが大切な行事を台無しにしないよう配慮したもので、今回は木曜深夜から選挙後の月曜夕方6時まで、あらゆる場所での酒類の販売が禁止されるものです。
とは言っても、自宅で飲むことまでは制限されていないので、酒屋やスーパーは早々にこの法令実施を報じた新聞記事を店頭に掲示して、禁止期間開始前の買いだめを促していました。
一方、気になるのは武器携行の禁止。これは勿論一般市民の武器携行を禁じるもので、軍や警察関係者はこの限りではありません。ベネズエラでは不法に所持された銃等の火器が15百万丁も出回っている(ベネズエラの総人口は27百万人)と言われており、こうした不法所持の火器の携行は普段から禁じられている訳で、今更ながら数日禁止しても、選挙前後の治安が良くなるとは期待できません。
地元の公立・私立の学校は、校舎が投票所に充てられるとの理由から、本来9月上旬に始まる新学期が10月以降にされ、地元の学生は在宅学習を余儀なくされています。
こうした状況で良い教育が期待できる訳は無く、選挙に勝利した政党が一刻も早く状況を改善してくれることを望むばかりです。
ところで、旧道(Carretera Vieja)地域の豪雨被害について先週お伝えしましたが、今週も雨は降り続け、全国で被害は拡大しています。
Derrumbe en carretera vieja a La Guaira(ラグアイラへの旧道崩壊)
📷
Localizan cuerpos de tapiados en Blandín(ブランディン地区の行方不明者を捜索)
この旧道というのは、カラカスの海の玄関La Guaira港や空の玄関Maiquetia国際空港からカラカス市内に通じる高速道路が1953年に開通する以前の幹線道路で、今では高速道路が事故などで閉鎖になった場合など、特殊な事情が無い限りこの地域住民以外使用しない道路のこと。
何故一般の人達に利用されないか?というと、旧道沿線には不法に建物を建てて住み移ってきた貧民層のバラック住宅が密集しており、この人達が連絡を取り合って通行するクルマを襲い、金品を強奪されるとされるからです。
先月VIP御一行が来られた時に、空港からの高速道路が超渋滞状態になって、通算7年以上のカラカス駐在経験で初めてこの道路を通りましたが、警察の護衛付とは言え、流石に細い旧道を1時間以上掛けて走るのはスリリングであったと同時に、ベネズエラが抱える貧困問題を改めて目の当たりにして、貧民対策を一番の政策に掲げる現政権の人気の背景を実感したものです。
しかし、今回の豪雨被害が度々取り上げられるにつれ、政府の無策も浮き彫りにされており、こうした事実を有権者がどういう行動で示すのか、改めて注目されます。
Comments