2011年8月27日
今週はリビア情勢のレポートが各紙一面を飾ってきましたが、カダフィ大佐の動静が不明であることから、今朝の各紙の対応はまちまちで、反政府色の最も濃厚なEl Nacional紙だけは、カダフィ大佐の自宅内にある豪華な室内プールに一般市民が飛び込んでいる写真を掲載し、チャベス大統領の盟友の凋落を報道し続けています。
もう一つの反政府紙El Universalは、一面トップに対外債務(deuda externa)が昨年比37%増加して847億ドルに達したことを報じています。
そして政府系Ultimas Noticias紙の一面は、なんとカラカス市の中心にあるLos Caobos公園で始まった恐竜博覧会の模様を1面・3面を割いて報じており、リビア情勢の報道は34面にごく小さな扱いで報じられているのみです。
Ultima紙の面白いのは、競馬関連の紙面の多いこと。Cadena Hipica(馬の鎖)という特集版が8ページも挟まっています。今回の駐在で大きく変化を感じているのは、街中にスポーツバーと称するレストラン兼 場外馬券売り場 兼 賭け事屋のような店舗が増えていること。
また、Bingoというカジノもあちこちに出来ていて、社会主義とは正反対の方向性の動きが進んでいることを感じさせますが、これも愚民化政策の一環なのでしょう。
東京でもお台場にカジノを、なんていう声も聞こえましたが、パチンコに熱中して子供をほったらかす親がこれ以上増えないようにするためにも、こうした動きには歯止めが必要と思います。復興優先だから今はそれどころでは無さそうですが。しかし、パチンコ屋の電力消費を批判した都知事、カジノ誘致には熱心だったように思うのは記憶違いでしょうか?
El Nacional紙が報じた楽しいニュースは、ミスユニバース世界大会が近づいているということ。
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9月12日にブラジル・サンパウロで開催されるミス・ユニバース世界大会に出場するVanessa Goncalvesさんと中国代表。
来週あたりからテレビもこの話題でかなり盛り上がることになります。
ところで、今週の大統領は、ロシアから来たラブロフ外務大臣と武器の調達や新金融システムの構築などについての協議を行ったと報じられています。 📷
ロシアの外務大臣と新たな金融機関創設で合意した大統領
既にロシア・中国からは大量の武器を買い付けており、特に大枚を叩いて購入したロシアの戦闘機スホーイ30型機は、頻繁に出張するバルセロナ空港に野ざらしになっているので、毎回観察できるのですが、海辺の空港に格納庫も無いまま14機もの超高級(1機50~100億円?)な機材が簡便な屋根だけの場所に昼夜放置されているのを見ると、今度のカネも無駄になるのだろうな、という印象を持たざるを得ません。
Hipicaに似た単語で、Hipoteca(イポテカ)という言葉がありますが、これは馬とは関係なく、抵当・担保という意味。実は石油の先物権を担保に中国やロシアから大量の借金を抱え込んでいるのがベネズエラの実態であり、冒頭の対外債務増加も、こうした動きの結果として出てきているもの。
日本でもそうですが、国民の一人一人が国の財政事情にもっと目を向ける必要があるのですが、お祭りと化した政治の世界を面白おかしく報じるマスコミに騙され続けているという点では、ベネズエラも日本も同じレベルと言えるのでは?
ベネズエラのマスコミの方が規制が厳しい分、質が高いようにも思います。
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