2010年11月6日
取引先の化学品公社総裁が突然交代を発表され、役員人事にも影響するということでバタバタした一週間でしたが、世の中の動きとしては大きなニュースの無い週であったと言えます。日曜恒例となった大統領の接収宣言も鋼管メーカーSidetur社のExpropiacionが発表されたものの、もう人々の反応は「またか。」程度のものになって来ており、”慣れ”の恐ろしさを改めて感じる次第です。
接収宣言ではないものの、同じ番組の中で大統領は「カカオを戦略的商品とみなす」と発表し、世界一の品質で知られるベネズエラのカカオを国家を挙げて増産する方針を明らかにしています。カカオの生産は現政権になる以前も、何度か国営公団が増産に向けて努力した経緯はあるものの、いずれも失敗に終わっており、国が生産に関与することの逆効果を示した端的な例であるにも拘わらず、ここでまたこの政府が管理することになると、他の国営化産業で見られる生産の大幅な減少や品質の低下が発生することは畢竟であり、大きな懸念材料がまた出来た格好です。
📷 収穫したカカオの実を割って種を取り出し、天日干しで乾燥
さて、今週の話題はアイスクリーム。日本ではイタリア語のgelato(ジェラート)という言葉に置き換わりつつある言葉ですが、南米で面白いのはアイスクリームを売り歩くHeladero(エラデロ)という行商人が大勢いて、彼らが鳴らす鈴の音やテーマソングが都市の午後を象徴する音になっています。 こういう姿で売り歩いています。 http://www.flickr.com/photos/34927741@N02/4745931483/ 行商のアイスクリームはEFEというブランドとTio Rico(裕福な伯父さん)という二大ブランドが市場を牛耳っており、テーマソングもそれぞれの会社が独自のモノを使うので、その音を聞くだけでどこのメーカーのアイスクリーム売りが歩いているか、聞き分けができます。 このEFEというメーカーで8月から10月にかけて工場がストライキによって停止され、"Neveras sin elados"(冷蔵庫にアイスクリームが無い)という社会問題になりました。実はこのEFE、政府から最も激しい攻撃を受けているPolar社の一部門で、ストライキそのものも裏で政府が糸を引いていたという見方が多く、一連の迫害に反発して、各地のPolar系工場で、政府に抗議するデモなどが多発しています。 こういう記載ばかりしていると、本当に精神的にへばってばかりの国のように見えますが、美味しくて人気のアイスクリーム専門店はいつも満員で、こうした店先や、混雑しているショッピングセンターの内部に居る限り、この国の危険性は全く感じられません。
従って、今回のアイスクリーム騒動のように、人々が欲しがるモノが無い状態が続くようになると、警戒が必要になるのかも知れません。
因みにheladeroという単語には、「アイスクリーム売り」という意味の他に、「ひどく寒いところ」という意味もあり、ベネズエラ経済の状態を指してheladeroという表現も使われています。
Comentarios