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  • 執筆者の写真Kaz Suzurida

ベネズエラの言葉 escasez(エスカセス)=不足・窮乏 英:shortage 葡:escassez

今週はベネズエラの友人から厳しい現地の事情を知らせてきましたので、皆さんにも共有します。 https://www.elnacional.com/economia/conindustria-expreso-preocupacion-por-escasez-de-gasoil-en-venezuela/

産油国ベネズエラでは永年の軍政による管理能力不足で石油精製能力が大幅に落ち込んでおり、深刻な燃料不足が続いています。

これによって、物流能力にも支障をきたし、回復しつつあった商品の流通にも暗い影を落としています。

かつては日本円の百円相当で大型SUVの70リットルタンクを満タンにしてお釣りが来ましたが、今や1リットルの値段は国際相場並みの50円程度にまで上昇、しかも国産能力が大幅に低下して、ガソリンスタンドには毎日長蛇の列が並んでいるそうです。


今月から新たに発行された新札は最高額が百万ボリーバル。でも、米ドルとの換算では僅か47セント=50円ちょっと。(記事の時点では52セントでしたが、既に下落しています。)

ベネズエラでなら日本の千円も二千万ボリーバルですから、気分はリッチになれますが、最高紙幣20枚分ですから、紙幣の持ち歩きは現実的ではないレベルにまで落ち込んでいます。

銀行ATMは機能していますが、最高引出限度額が30万ボリなので、15円。多分機械の運営コストも出ないでしょうし、この額を引き出しても激安の公営バスに乗れる程度だそうです。


マドゥロ政権ではこうした事態に対応する為にデジタル通貨を普及しようと躍起になっているものの、これを利用するためのカードの入手も困難であり、市中では米ドル現金が主な決済手段になっているそうです。

しかも、釣銭が無いので、スーパーなどではお釣りの代わりにクーポン券を発行して対応しているものの、インフレが激しいので、クーポンの価値は日に日に減額され、役に立たなくなっているのも実情。


今日の単語escasezは、モノが無い状態を指す単語ですが、2012年にベネズエラを離れて以降、あまり使わない単語でした。


パラグアイでもコロナ対策の医薬機器や薬品、設備が足りないことが問題になっていて、プロの扇動集団と思しきグループが放火や暴力に訴えて、本件を過大に捉えられるような動きを見せていましたが、毎日続く抗議デモも市民の関心が薄れてきており、こうした報道も視られなくなってきている状況です。


今日はアストラゼネカ社製のワクチン36千人分が到着したことが報じられました。


モノの不足という点では、30年前には南米で最も豊かだったベネズエラが今や最も貧しい国に転落し、この厳しい状況はまだ暫く続きそうですが、コロナ禍による移動の制限は、世界の物流にも大きな影響を与えています。

以前もお伝えしましたが、海上コンテナの運賃は世界各地で高騰しており、パラグアイから日本への運賃もコロナ前の3倍以上の高値になって、パラグアイ川の水位が戻って艀の運航が復活した今でも、料金は高止まったままとなっています。

ベネズエラでの物資不足が、世界中に広まるリスクも孕んでいるコロナ禍の物流問題。あらためて皆さんの身の回りのモノがどこで作られてどのように流通しているのか考えてみてください。特に食べ物の確保は今後の重要課題になると懸念します。

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