2010年1月24日
1958年1月23日に当時の独裁者Marcos Perez Jimenez大統領が亡命して長く続いた軍事独裁政治が幕を下ろし、新たな民主主義政治(Venedemocrasia)が始まった記念日として、独裁政治終了記念日に当る今日1月23日は当時を知る年配の人達の間でささやかに祝われていました。
しかし、今年の記念日は例年と様相を異にし、昨年9月5日以来4ヶ月ぶりに大規模な抗議デモが開催されました。今回、反対派はPlaza Venezuela周辺を基点に、大統領府や政府組織事務所を目指したこれまでとは趣を変え、南米最大級の貧民窟の一つと呼ばれるPetare地区を終点に選び、市内を練り歩きました。
一方の大統領派も、PDVSA(石油公団)やPEQUIVEN(石油化学公社)など、政府系企業の従業員を地方からバスで動員して、政府を正当化するデモを主催し、市内三箇所を基点としてPlaza O'Learyに終結する大規模行動を起こしました。(マラカイボやプエルトラクルースから動員された友人達に同情します。)
今回は双方のルートがぶつかることが無かったことや、反対派デモが反対派支持層の多いチャカオ市を中心に行われたことから、大きな騒乱には至らなかった模様です。
Marcos Perez Jimenez大統領というのは、先述の通り、最後のDictator(独裁者)として民主政治開始前の最後の悪政治家との捉え方がされていたものの、実際には現在のカラカス市の骨格(高速道路の整備や住宅・オフィス街の整備等)を作ったという点で非常に高い歴史的評価を得ている人物でもあります。
ベネズエラでは主要な道路や建築物に歴史上の人物の名前が冠されており、Jimenez大統領の前の時期のRomulo Gallegosまでは名前が残っているものの、Jimenez氏はその後の”民主的”政権からは否定され続けた模様で、彼の名のついた道路や建造物にお目にかかったことはまだありません。
チャベス大統領はこの”民主的政権”を「悪しき第四共和国」と呼び、この時代に作られた歴史を塗り替えるべく、様々な名称の変更も行ってきました。979mと世界最高落差を誇るベネズエラで最も有名な観光地Salto Angel(エンジェルの滝)も、アメリカ人の名を冠するのはけしからんとして、昨年12月に原住民による呼称「Kerepakupai Meru」に変更されたばかり。勿論こんな名前、他の強制変更例(地下鉄Parque del Este駅→Miranda駅)等と同様、市民の間で定着しているとは言えません。
現在のベネズエラを支配するチャベス大統領は、20世紀最後の独裁者Perez Jimenezを模範にしているとも言われ、語り口等は本当に良く真似る努力をしているように思われます。(ヒメネスの演説はヒトラーの演説にも似ています。)しかし、カラカスの街建設の立役者ヒメネス大統領とは違った方向性に行っているような今の政権、何とか軌道修正を実現して欲しいものです。でないと権力の座を追われた過去の大統領たちと同じ運命が待っているでしょう。ブラジルのLura大統領の今週の支持率は政権末期の今でも83%、一方のチャベス大統領は30%前後と言われており、今年9月26日の国会議員選挙が今年最大の政治日程になります。
📷 大統領支持派の集まり。赤シャツの売れ行きはまだまだ伸びそうです。(El Universal)
📷反対派の行進。楽隊も引き連れてお祭りムード満点でした。
Comments