2011年1月15日
年末の為替調整(特恵BsF.2.60/US$の廃止、BsF.4.30/$への統合)を受けて、ボチボチ物価が動き始めているようです。
政府は食品や医薬品の価格上昇を抑えようと、色々な努力をしているようですが、一方でレストランのメニュー等は年明け早々に書き換えられたように思われます。
定点観測を行う為の指標を固定していないので、何がどれだけ値上がりしたか、中々指摘しにくいのですが、新聞だけは毎週買っているので記憶しています。
2008年3月の着任当初、新聞(El Universal/El Nacional)の価格は平日BsF.1.50で、昨日までBsF.4.00でしたが、今朝近所のパン屋に新聞を買いに行って驚いたのはUniversal・NacionalとUltimas Noticiasの三紙と牛乳二本(900mlx2パック)を買った勘定がBsF.21.40であったことです。つまり、UniversalとNacionalが一晩で25%値上がりし、BsF.4.00からBsF.5.00になっていたということで、政府系Ultimasは流石にためらったのか、BsF.3.00のままでした。牛乳の値段は一本BsF.4.20という計算です。牛乳は着任当初はBsF.2.00以下だったと記憶しますので、三年弱で二倍以上、新聞に至っては三倍以上に上がったことになります。
昨日のEl Nacional一面に出ていた記事で、「Dos salarios minimos no cubren el costo de la castana basika」(共働きでも最低賃金では必要な費用をカバーできない)として、夫婦合わせてBsF.3,000の収入の子供三人の平均的家庭では、12月の食費支出だけでBsF.2,798.01となり、光熱費や交通費すら賄えないという資料を提供しています。
この記事では、2009年の平均食費がBsF.1,630.32/月であったのに対し、今年はBsF.2,798.01に上昇しているとして、翌日からの自紙の値上げを正当化しようとしていました。
デフレが続く日本でも、昨年の天候不順の所為で農産物等食品を中心にジワジワ値上がりしていた様子を観察してきましたが、年率約30%というベネズエラのインフレは、大統領を支持する最低賃金者層の生活を益々圧迫することになりそうで、治安の悪化や天候不順対策と共に、来年末の大統領選挙に向けて、物価のコントロールを如何に行うか、が今年の大きな課題になりそうです。
今日の言葉Castanaは買い物カゴの意味と同時に、経済用語でMarket Basket(理論生計費算出の為の全物量方式)を指しますが、日本と同様にベネズエラでもスーパーでの買い物では大型の車輪付カゴを使うのが一般的で、Carrito(カリート=小型車)と呼んでいます。インフレ防衛のために、買い物は毎回大量に購入する家庭が多く、Carritoのサイズも日本よりは大き目です。
ところで、今日の一面は主要三紙が同じテーマを取り上げています。それはLara州の州都Barquisimeto(バルキシメト)の教会で行われた聖母を祭るパレード(Procesion de la Divina Pastora)の模様で、約6千人の信徒が市内を行進し、全国3百万人の信徒が祝賀の行事を行ったと報じられています。ベネズエラの宗教は95%以上がカトリック・キリスト教とされていますが、アフリカ奴隷の混血が多いために、アンデス諸国のカトリックとは様相を異にし、聖母マリアや聖子キリストも黒髪で、これから行われる別の宗教行事San Benitoで祭られるのは黒人の聖人であったりと、カリブ独自の雰囲気を漂わせています。
今回のパレードの模様はテレビでも朝から中継が入り、大統領に反旗を翻した州知事へのインタビューが行われ、政府側はこの宗教行事が反政府デモに発展するのではないかとの懸念から、警戒態勢を敷いていた模様ですが、平和と安定を望む信者たちは平穏に行進を終えたと各紙は伝えています。
📷 📷 Basílica de Santa Rosaの聖母子 Dicina Pastoraの行進 San Benitoの黒い聖人
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