2011年6月4日
3月2日に成立した禁煙法が紆余曲折を経て世界禁煙デーの5月31日から本格的に施行されました。
その31日の新聞では各紙が一面トップでこの新法の実施内容について詳しく報じています。
特にあらゆる屋内の空間での喫煙を禁じる法律を徹底するために政府は禁煙法の施行を通知する巨大な広告を作成、オフィスもレストランも含むあらゆる事業所で、この掲示が義務付けられましたが、路上販売業者(Los Bohoneros)の新たな販売商品登場という感じでもあり、渋滞の道路ではこの大型ポスターを販売する売り子の姿が目立っています。
政府が義務付けているポスターには「Est es un ambiente 100% libre de humo de tabaco(ここの空気は100%タバコの煙と無縁)」と書かれているのですが、反対派の愛煙家はHumo(煙)の一文字mをgに書き換えて、Hugo(大統領の名前)とし、「この環境は100%大統領とは無縁、無煙」と言って盛り上がっています。報道によって罰則の規程に違いがあるように思われますが、レストランなどで客の喫煙を黙認した場合、業者に課せられる罰金は最大90万ボリーバル。誰が取り締まりに来るのか、まだ全く判りませんが、こんな大金が動くことになると、また一層汚職が増えるのかも知れません。
因みに禁煙法が発表されてから、一番人気のBelmontの価格が3月の16ボリーバルから現在は20ボリーバル、所謂洋モクの人気銘柄Marlboroは20ボリーバルから24ボリーバルに、と軒並み2割の値上がりとなっていて、日本と同様、愛煙家には肩身の狭い環境に向かいつつあります。
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ところで、今週はブラジルのルーラ前大統領が民間企業のトップを引き連れてベネズエラを訪問し、チャベス大統領に対し、ブラジル企業向けの未払い案件の解決を求めて会談を行いました。
ブラジル人の友人に誘われて、トップ会談の翌日市内のホテルで行われたルーラ氏の講演会を聴きに行きましたが、目の前で見る前大統領は小柄ながら大変な気迫を発しており、「ブラジルの成功は前の政権のやり方を否定しないこと、周辺各国との協調を優先したこと、貧しい人たちの生活レベルの底上げを政府が支援すれば消費は自ずと増え、経済は良い循環に入る」等と熱弁をふるっていました。(日本の政治家にも聞いてほしい話)
昨年観たオリバー・ストーン監督の映画「South of Border」(大統領主催の試写会、監督も同席)の中で、ブラジルを訪問したチャベス大統領が、ルーラ大統領(当時)の前では借りてきた猫のように小さくおとなしく座っている映像を目にして、「この人とならさもありなん」と思った次第です。
チャベス大統領はジルマ・ルセフ現大統領に会うことを期待して、今年はじめから何度か訪伯を計画しましたが、未だに実現していません。ルセフ氏の後見人とも言われるルーラ氏との会談で、現政権との面談実現に向けて道筋をつけようとしていたのは明らかですが、その前に片付けるべき宿題を渡された、というイメージです。
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