2016年3月5日
今週は東欧ブルガリアに行ってきました。 何で南米ブラジルから東欧ブルガリアへ?
と言う疑問には問い合わせをいただいた場合にのみお答えするとして、ともかく人生初東欧は非常に勉強になりました。
ブルガリアは黒海の西岸、北にルーマニア、南にトルコ・ギリシャ、西にセルビア・マケドニア(旧ユーゴスラビア)と国境を接する面積11万平方キロ(北海道と青森・岩手を足した感じ)、人口730万人(愛知県や埼玉県と同じ程度)の小さな国です。(ウルグアイをご紹介した際に好評だった地図URLをご覧ください。
首都はソフィア、西の端っこに位置していて、ここを起点にバルカン山脈北ルートで東の黒海沿岸ヴァルナまで行ってブルガスに南下、今度は山脈の南を通ってソフィアに戻る、まさに全国一周1,000KMを三日間で走破して来ました。
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ブルガリアと言えば、日本では鳴門親方(元大関琴欧州)とヨーグルトが有名ですが、その歴史は古く、紀元前4千年に文明を確立していたトラキアに端を発し、日本の飛鳥時代である紀元681年には第一次ルーマニア王国が成立、その後一時トルコに征服されたものの、ほぼ一貫してブルガリア特有の文化を維持してきた点で、欧州では稀有な地域と言えます。
1944年に共産主義国の仲間入りを果たし、1949年に発足した共産主義国経済相互援助会議COMECON(Council for Mutual Economic Assistance)においては、新技術の開発拠点の役割を果たしていたとのことで、主たる産業である農業だけでなく、石油化学や食品加工等の工業分野でも色々な企業が活動しており、安価な賃金を活用してイタリアやフランスの高級アパレル業界の生産拠点にも選ばれています。
ワインやチーズの文化発祥の地と言われていますが、もう一つ有名なのはバラの花のエキスで作る各種製品で、ソフィアの空港にはこうした製品が特産品として沢山売られていました。
また丁度3月1日に居合わせた為に、ブルガリアとルーマニアの伝統行事Мартеница(マルテニツァ=紅白の飾りを飾って、手首にも同色のリストバンドをして幸運の到来を祈る)も体験できました。
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長い歴史を持っている割に、欧州での認知度は低く、フランスやスペインではブラジルと取り違える(日本人にとってのオーストラリアとオーストリアの様に、ゴロが似ている為?)ケースが多いそうですが、実はブラジルのジルマ・ルセフ大統領のお父さんはブルガリアからの移民であり、ブラジル人にとってはフランス人よりも馴染みのある国と言えるかも。
短い滞在で一番大変だったのは言葉の違い。ロシアと同じスラブ語系の文字で、iPhoneの地図を見ながらの移動も、表記が現地文字になっているために自分が何という町に居るのか見当もつかない状況でした。
往復の飛行機で読んでいたデビッド・アトキンソン氏の「新・観光立国論」で、日本にやって来る外国人が如何に大変か、書かれていましたが、実際に文字の読めない国に行ってみて、著者の主張が身に染みて理解できた次第です。
今日の言葉Наздравеも、これをどうやったらナズドラベと読むのか見当も付きませんが、здраве(ズドラベ)は健康を意味する言葉だそうで、乾杯の際に「皆さんの健康のため」と発声する文化は、ポルトガル語Saúde(サウジ)もスペイン語¡Salud(サルー)も同じ発想ですので、文化の根っこは繋がっているのでしょう。
極めて低廉な物価や豊富な観光資源(あちこちに温泉があります!)は、日本人にも大いに魅力的。日本からのアウトバウンドの目的地としてもっと人気が出ても良い様に思います。
さて、今週のブラジルですが、金曜日午前中にルラ前大統領が遂に連邦警察の手で一時的に拘束され、事情聴取が行われました。このニュースが流れると、全国で一斉に親政府派と反政府派が行動を起こし、サンパウロ市内でも両派の衝突で多数のけが人が出たと伝えられ、今朝の新聞は関連記事で紙面が一杯になっています。
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同じタイミングでブラジル経済の落ち込みを示す2015年のGDPマイナス3.8%というニュースが流れました。ブラジルの景気が回復して祝杯を挙げられるようになるまでは、もう少し時間が掛かりそうです。
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