2015年5月2日
昨日5月1日はメーデーで、南米各国は殆ど祝日です。(パナマとスリナムのみが例外とのこと。)
日本では丁度ゴールデンウィークですが、ブラジルではこじんまりと三連休。それでも今週は火曜に発熱で病院に行ったので、短い週日と長い週末は骨休めに丁度良いタイミングでした。
今日先ずご紹介するのは、少し前に報じられた日本の東本願寺こと真宗大谷派の新門主決定の記事ですが、これはブラジルでよりも日本での方が大きく報じられたものと思います。
「サンパウロ大卒、ブラジル国籍の次期門首が抱負」
http://www.sankei.com/west/news/150422/wst1504220074-n1.html
新しく東本願寺を率いることになられた大谷暢裕師ですが、京都で生まれたものの、間もなくブラジルに移民され、サンパウロ大学を卒業してITA(Instituto Tecnológico de Aeronáutica)で教鞭をとっておれたとのこと。ITAと言うのはブラジルの工科大学の最高峰で、間もなく試験飛行の行われる三菱重工の航空機のライバルとなるEmbraer社の本社傍にあって、ブラジルの航空宇宙産業の中核拠点でもあります。
その教授をされておられた方が、日本最大級の仏教宗派の長になられたと言うのは、新鮮な驚きで、南の隣国アルゼンチンからカトリック総本山の教皇が出たこと以上のインパクトを感じます。
そして今週水曜日には純粋なブラジル人が日本で修業を積み、遂にサンパウロの自宅を改造して日蓮宗のお寺を開いた、とのニュースが報じられ、聊か驚いた次第です。
昨年5月にブラジルに転勤して以来、これまで知らなかったブラジルの横顔のようなモノが見えてきて、その都度面白がって皆さんに報告しているのですが、実は宗教の多様性も、現代ブラジルの非常にユニークな側面であると言えます。
人種のるつぼとも言えるブラジルでは、15世紀にポルトガルから持ち込まれたカトリックが最も多く信者を持つ宗教であることには違いないものの、そのカトリックの中の宗派は、滞在一年では理解不能な程色々な方向性に分かれており、中でもテレビを使って布教を行う各宗派のプレゼンテーションにはしばしば驚かされます。
中でもとりわけ露出度が高いのは、Globoチャンネルでも毎週日曜早朝に自分の番組を持つMarcelo Rossi師で、彼は番組の中で自ら歌い踊ることで、多くの信徒を引き付けています。
https://www.youtube.com/watch?v=eQkkmtQvsNk 日曜ミサが行われるのはサンパウロのセ教会(下写真)に象徴されるような立派なカテドラルではなく、その辺りの体育館に神々しい絵を描いた垂れ幕を掲げただけの極めて質素な集会場で、ここで朝6時頃から7時半までミサを執り行います。
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日曜のミサはペルーでもベネズエラでもテレビで放送されていましたが、他国のテレビで放送されるミサはその国の一番立派な礼拝堂であるのが普通なのですが、Rossi師のミサはシンプルそのもので、頻繁にテレビカメラを意識しながら、時々自分の出版物の宣伝をしたり、ホームページのURLを映し出したりして、明らかに旧式のカトリックとは一線を画しています。ミサの最後に、聖体拝受のせんべいを参列者に与え、聖水を振りかける儀式は同じですが、この聖水もなんとポリバケツの水を壇上から群衆にブッかけるので、ここだけ見ると東大寺のお水取りか、或はどこかのはだか祭と同じノリの様にも見えるのです。
こうした宗教番組、誰がスポンサーになっているのか?通常の宣伝が入らないので良く判りません。
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ブラジルではテレビチャンネルをひねるか、ラジオをつけるとかなり頻繁にこうした宗教番組をやっていて、大勢の貧しい信者たちがなけなしのお金や装身具を競うように寄付している様子が映し出されます。これを観ている視聴者達は、自分も救われる為に、お布施をおさめようと思うのでしょうか?こうしてみると、宗教と言う集金ビジネスモデルの凄さを改めて痛感する次第です。
また、こうした新興勢力的な宗教集団のアプローチを観ていて感じるのが、チャベス大統領との類似性です。彼もテレビ番組を多用して歌い・踊り、大衆に話しかけて貧困層を中心に高い支持を維持していました。そして既に亡くなって2年が経過した今、もはやチャベスは完全に神と化してベネズエラの大衆貧困層の心を今でも明るく(?)照らしています。
先週ネパールを中心に発生した地震の被害は、ブラジルでも毎日報じられていますが、仏教国ネパールを襲った大きな不幸、神様は誰の上にも平等に災厄をもたらすのですね。
これを機会に日本の仏教について調べてみようと思ったのですが、以外にも文化庁が毎年「宗教年鑑」なるものを発表しており、これを読めば日本の宗教はザックリ理解できることが判りました。 http://www.bunka.go.jp/shukyouhoujin/nenkan/pdf/h26nenkan.pdf 日本に居ると、選挙離れと同時に宗教離れを感じますが、政府機関である文化庁がこのように真面目に宗教をまとめているのは驚きでした。税金免除の対象なので、逆に真面目に活動を観察する必要あり、という事なのでしょうか?しかし憲法に定められた政教分離すら実施出来ていない今の日本。選挙も宗教も人心が益々離れて、その無関心が却って熱心な信者と代々続く家業の稼業を利することになっている現状を、憲法記念日に考えてみるのも良いですね。
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