ブラジルの言葉 recua(ヘクア)=後ずさり・退却 英:back 西:retroceso
- Kaz Suzurida
- 2015年12月5日
- 読了時間: 3分
2015年12月5日
遂に暦は師走となり、世の中の動きに慌ただしさを感じるようになっています。
ここブラジルでも今週はEduardo Cunha下院議長が大統領罷免請求を受理し、週前半はこの話題で持ち切りでした。ただ、Petrobras汚職問題で追及されている同議長に司直の手が迫ってきたことへの報復として受理をしたものとの批判も多く、却って議長の立場を悪くし、Dilma大統領の罷免よりも先に同議長を国会から追放すべし、との声が高まってきています。
また、サンパウロ州では学校改革と称して公立学校の統廃合を実施しようとしていたGeraldo Alckimin知事が、学生側による激しい反対運動に音を上げて方針を凍結すると報じられました。
Alckmin recua de fechamento de escolas e secretário cai(アウキミンは学校閉鎖で後退、局長更迭)
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これは学校によって科目数や単位数が異なっている状況を整理し、現在基礎教育前期(1-5年)・基礎教育後期(6-9年)・中等教育(10年‐)に統一することを念頭に、教員の充実も図ろうとしたものの、一方で学校の統廃合に繋がり、今通ってる処から遠くの学校に転校を余儀なくされる生徒が多数出ることに学生のみならず各種団体が抗議、道路封鎖などの強硬手段に打って出たもので、道路に机と椅子、黒板を持ち出して授業を行うデモンストレーションはマスコミでも頻繁に取り上げられ、抗議する生徒側に好意的な意見が続出、知事の不支持率が30%を超えることになった為に、州政府は教育局長に責任と取らせて更迭し、計画を白紙撤回することにしたものです。
抗議運動を行う学生や教師を警察や軍隊が催涙弾等で鎮圧する様子を報じたテレビニュースは「これはベネズエラの映像?」と見紛うようなものでしたが、11月上旬の学校占拠に始まった騒乱は一カ月で収束することになりましたが、まさに教師も生徒も走り回った一カ月でした。
で、明日はベネズエラの国会議員選挙。これについても今日の各新聞は大幅に紙面を割いて行方を占う報道を行っています。
中でも特筆すべきはブラジリアからの報道です。
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11月22日の決選投票で次期アルゼンチン大統領に選ばれたMauricio Macri氏が昨日、就任前にブラジルアを訪問し、ジルマ大統領と面談したもので、この中で「ベネズエラでの選挙結果が歪められるようであれば、南米共同市場協定Mercosul(スペイン語ではMercosur)としてベネズエラを追放するなど厳しい措置が必要(Presidente eleito da Argentina falou a Dilma em Brasília sobre sua intenção de suspender a Venezuela do Mercosul)と述べたとのコメントが最大のテーマとして扱われたのです。
アルゼンチンでの大統領選では、ジルマ政権は同じ左派で前Cristina Fernandez大統領と同一党派のDaniel Scioliに肩入れをしていましたが、Macri次期大統領は就任前ではありながら、チャベス・マドゥロ政権と連帯していた前政権を全面的に否定し、真の民主主義を実現する為として、ブラジルの協力を迫ったもので、これまでチャベス政権から金銭的支援を受けてきたとされる南米左翼諸国からのマドゥロ政権への支援を選挙実施前に断つ戦略と思われます。
Macri氏が進めようとする経済改革は、アルゼンチン国内だけでなく、バラマキによって低所得者層の支持を取り付けることで政権を維持しつつも、結果として低所得層の愚民化も行ってきた左翼政権諸国同士の連帯を断ち切ることで、実現されるとの信念に基づく行動の様で、明日のベネズエラの選挙結果も含め、南米が後ずさりから前進に向けて方向転換することが出来るかどうかに注目が集まっています。
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