2015年12月19日
今週のサンパウロは漸く夏らしい陽気になってきましたが、暑くなってくると問題になるのが害虫の発生です。
今年、ブラジルを震撼させている病気が熱帯縞蚊mosquito Aedes aegyptiを媒体として流行しているZikaウィルスによる小頭症やギラン・バレー症候群で、北東部Nordesteエリアで始まった流行は既にサンパウロ州でも感染が確認されており、小頭症の症例も既に全国で2000件以上報告されており、outbreakとも言われるほどの猛威をふるっています。小頭症というのは、胎児の頭蓋骨が早期に縫合して脳の発達を妨げる症状で、今年前半に北東部で急に症例が報告され始めた背景をブラジル連邦厚生省がZikaウィルスとの関連性を今月認めたものです。
📷 このウィルスは性行為によっても感染するとされ、新聞でも性行為の際はコンドームを使用するように、と訴えています。 http://www1.folha.uol.com.br/cotidiano/2015/12/1719597-paciente-com-sintoma-do-virus-deve-usar-preservativo-diz-virologista.shtml 先般、会社で伝染病に関する保険講義が開催され、日系人医師が如何に病気を予防するかについてポルトガル語で行った説明を若い現地社員諸君と一緒に拝聴したのですが、その内容は殆どが無防備な性行為はエイズなどの性病の基になり、それが如何に恐ろしい症状をもたらすか、というモノで、患者の患部写真を多用して、配偶者以外との性行為には必ずコンドームを用いるように、と先生も力説していました。 周囲を見回すと独身の女性社員が半分以上だったのですが、大映しになった病気の性器の写真が次々に出てくる説明を平然と聞いている様子は、日本では有り得ないだろうな、という雰囲気で、なんとなく居心地が悪かったのですが、大新聞でも堂々とこうした記事を主要面に持ってくるのですから、衛生教育に関しては、寧ろ日本よりも進んでいるのか?とも思えます。(それだけ病気が身近であることの証左でもありますが。) さて、今週のブラジル政界では今年一月から経済立て直しの期待を担って登壇し、財政再建のためにバラマキと言える社会保障費の削減などの大ナタをふるって経済界からの信任も厚かったJoaquim Levy財務大臣が社会保障の維持を優先するRousseff大統領との政策論争の果てに辞職を表明し、代わってNelson Barbosa企画大臣を登用することになり、Levy氏個人への信頼から持ち直しかけていた通貨Realが週末にかけて下がり始める結果となりました。 📷 左:Levy前大臣、 右:Barbosa新財務大臣 結局昨日金曜日の終値はR$3.9831/US$と、月曜の寄り付き3.8750に対して3%近く下落したことになり、年末に至って依然回復の見通しの立たないブラジル経済に新たな不安要因が持ち上がった感じです。 ところで、日本ではあまり知られていない携帯アプリにWhatsAppという日本でのLineの様な無料通信サービスがありますが、今週木曜、このアプリが裁判所の命令でサービスを一時中断される羽目にはりました。 二億人のブラジル人の半分以上が利用し、もはや基本インフラの一つと目されるWhatsAppのサービス停止は、通常の電話回線を使わずにフリーWifiポイントから同アプリを使うことを通信手段としている多くのブラジル人に大変な問題となり、結果的に別の裁判官が半日後の木曜正午にこの停止命令を解除して騒動は大問題になる前に沈静化しました。 http://jp.wsj.com/articles/SB12554609945154534602604581423422178180328 もともと、有料携帯通信サービスを提供する各社にとって、利用者が通信料を払わずにテキスト連絡や通話ができるこうした無料ソフトの存在は事業収益を損なう問題として、以前から裁判所に提訴していたもので、通信インフラの整備に莫大な投資を行っている有料サービス会社と、ネットの拡大で利用料低減を求める利用者との確執の存在は、日本だけのものでないことが確認された事件です。 実際、WhatsAppのサービスが停止された途端に、別の無料通信アプリが半日で100万以上もダウンロードされたとのことで、蚊の退治と同様、無料アプリの蔓延を如何に防ぐか?が通信会社の大きな悩みの種になっています。
Comments