2011年11月1日
先週の大統領選挙の結果は日本でも報じられた通り、史上最も僅差で現職ジルマ大統領が再選を果たしました。(ジルマ51.64%、アエシオ48.36%)
上のページの地図で明白な様に、今回の選挙でブラジルが赤(現職)と青(反対派)に綺麗に分かれたことが判ります。
これは何を意味するか?と言うと、人口に於いて多数となる貧民層を支持母体として福祉背作の充実を訴える与党労働党が、より貧しい東北部で圧倒的に支持を集めた一方、中間層から富裕層までの所謂ホワイトカラーからの人気を集め、バラマキでなくより現実的な経済政策を模索する野党支持者が南部の諸州に集まっていると言うことです。
多民族国家ブラジルは米国と同じような人種のるつぼですが、北部には黒人系が多く、南部には白人系が多いと言う地域的特徴を持っています。
以前、ブラジルの富裕層について書いた時に、富裕層の大多数はサンパウロに集中している、と書きましたが、その他の地域でも南東(Sudeste)と南部(Sul)が裕福である一方、北東(Nordeste)・北部(Norte)・中西部(CentroOeste)では、富の蓄積が極端に偏っていて、特に、18世紀頃に奴隷としてアフリカから連れてこられた黒人系人種が日雇いの仕事で暮らすケースが多く観られるのが北東海岸部の特徴と言えます。
この地域には海岸観光地としても有名なSalvador(Bahia州)やSao Luis(Maranhao州)、Recife(Pernanbuco州)、Natal(Rio Grande do Norte州)等の都市がありますが、いずれも高い失業率や治安等の問題を抱えています。
実はこの現象、ベネズエラとも似ていて、ベネズエラの場合はカラカスから西のアンデスに向けて勤勉な欧州植民層と、東のカリブ海岸の黒人奴隷末裔層と言う風に人種の色分けがなされます。
決して黒人が怠惰で白人が勤勉というつもりはありませんが、これは小生の分析では気候に起因する性質で、熱帯に近い北部では暑さのために日中は勤労意欲が高まらない一方、果物等は野生のものが入手可能、一方南部は温暖の差が激しく、特に冬場の寒さに備えるためにはしっかりした住居を構え、衣服をそろえて食糧を備蓄する必要があり、自ずと勤勉にならざるを得ない環境にあると言え、こうした気候差が、住民の気質を特徴づける事になると言える訳です。
ただ、今回の選挙で、現政権によるバラマキ甘やかし施策を批判した人の多いサンパウロで、今日は午後からManifestaçãoが行われ、深刻化する水不足に端を発する諸問題に対するジルマ大統領の姿勢を批判し、リコールを要求する人達1500人以上が目抜き通りであるPaulista大通りを練り歩き、交通渋滞を発生させました。
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ワールドカップ前には頻繁に行われていた示威行動が復活したことで、物入りな年末に向けてストなどの混乱が生じるとすると、これまたベネズエラ的、と言わざるをえなくなる状況です。
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