2016年7月30日
パラグアイの外交についてご紹介した南米共同市場Mercosurの議長国交代時期が月末に迫りましたが、ウルグアイから次の順番のベネズエラに移行する為の合意が形成されず、議長席は暫く空席となることが確実になりました。
パラグアイで今滞在しているアパートホテルのケーブルテレビには、NHKが含まれておらず、テレビは地元放送とCÑN(CNNエスパニョール)に偏る生活を送っていますが、パラグアイではベネズエラの現状を憂う報道が非常に多く、ベネズエラの民主主義破綻に対するパラグアイ国民の関心が非常に高いと感じます。
一方、CÑNの放送を観ていて気付くことは、ベネズエラ企業の宣伝がやたらと多い事。
カラカス市内の高級ホテルやマルガリータ島のリゾート開発会社・洗剤会社・保険会社等、色々な会社がコマーシャル映像を流していて、CÑNだけ見ていると、ベネズエラは今でも裕福な資源国である、と五かいしそうです。
米国の共和党大統領候補が外交音痴を克服するための教材としてCÑNを見ているとすると、明らかに米国外交は勘違いした方向に進みそう、と危惧される内容です。
一方で現地から聞こえてくる生の声によると、ベネズエラ人の生活は日々の食糧・医薬品・衛生用品等の必需品が枯渇し、サバイバルすることが困難な状況に陥っており、パラグアイのテレビ報道はこうした真実を伝えているために、多くのパラグアイ人が同情を以て報道に接し、パラグアイ政府によるベネズエラ政府への批判を支持していることが良く判ります。
これも以前ご紹介したように、外務省ホームページによるとパラグアイの一人当たりGDPは4,368ドル、ベネズエラは12,472ドルと紹介されています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/paraguay/data.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/venezuela/data.html#section1
単純に言えばベネズエラはパラグアイの三倍豊かな国、という解釈が出来る訳ですが、両方の実生活を知っている立場から見ると、今のパラグアイは四半世紀前のベネズエラ並に豊富な食料と商品が手に入る国である一方、ベネズエラは国内通貨ボリーバルだけで生活する限り、世界で最も貧しいレベルの生活しか出来ないのが実態であり、CÑNのコマーシャル以上に謎の指標が使われていることに驚きを禁じ得ません。
CÑNがベネズエラに最初の特派員を送ったのが3-4年前と記憶しますが、多くの報道関係者に危害を与え続けてきたベネズエラ政府が、CÑN関係者には手を挙げていない様に見受けられたのですが、おそらくはスポンサーとしてカネを出すことで、世界的な影響力を持つCÑNを味方に付ける戦略に出ている様です。
世界に真実を知らせてくれる報道機関がVacanteにならないことを祈ります。
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