2017年3月4日
先週末は世界三大カーニバルの一つを自称するトリニダード・トバゴに行って、永年の夢であった実物のお祭りを観て体験してきました。
トリニダード・トバゴ(T・Tと約します)というのはベネズエラの沖合いに浮かぶ二つの島、トリニダード島とトバゴ島で形成される独立国家で、天然ガスやアスファルトを産出するエネルギー立国ですが、チョコレートの原料であるカカオ豆の原産地であり、今でも世界の高級ショコラティエではベネズエラ産と並んで必需とされる豆なのですが、80年代から行われたガス化学プラントの建設により、主要産業の地位を追われ、今や少数の農家が細々と伝統を守っています。
このトリニダード島で、新たなガス化学プラントを作ろうと、ベネズエラ駐在時代に何度も足を運び、それを具現化してくれた会社の仲間が4年以上にわたる駐在を終えて帰国することになったので、慰労を兼ねて訪問したのですが、結果的にはお世話になりっぱなしで、慰労されて帰ってきたものです。
ただ、プロジェクトサイトは綺麗に整地され、基礎工事も始まっていて、草ぼうぼうの荒地だった5年前とは見違えるような状態で、夜中までスチールドラムコンテストを観戦した疲れも吹っ飛びました。ただ、次の夜中に出発する泥掛け祭りでくたびれ果てましたが。
TTの国のあらましは、人口130万人=奈良県並、面積5,128㎢=千葉県並で、700万人・407千㎢のパラグアイが大国に見える小さな島国です。一人当たりのGDPは18,600ドルと、パラグアイの4倍以上となっていますが、エネルギーを産出し、人口が少ないのでそういう計算になるとしか考えられません。
因みに先週の当地新聞に南米各国の一人当たりGDPの比較表が掲載されていましたのでご紹介します。パラグアイはボリビアに次いで低いという事ですが、南米1位のウルグアイとの差が4倍あるとはとても考えられません。カネになる鉱物資源が少ないので、国内総生産金額が小さくなって、人口で割ると更に低くなるというものですが、アルゼンチンがチリよりも豊か、というのもあり得ない訳で、これはドルとの換算為替レートを不必要に高く維持してきた社会主義政権の負の遺産とも言える現象です。実際には、アルゼンチンもウルグアイも、ドルとリンクしているエクアドルと同じレベルと言うのが南米各国を知る者としての見解です。その意味では、TTのGDPも不当な為替レートの所為で異常に吊り上がっていました。面積の小さい島国ということもあって、食料自給率は極めて低く、物価はパラグアイの二倍以上という印象。天然ガス以外の農産物の輸出を振興するためには、先ず為替レートの是正が重要な政策になると感じた次第です。
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と、今週はパラグアイの言葉ではなく、TTの言葉のようになってしまいましたが、Trinidadと言うのは元々スペイン語の言葉。TTの公用語は英語ですが、首都の名前はPort of Spainで、ベネズエラ同様に長らくスペインの統治下にあった為に地名もスペイン語になっている訳です。
Trinidadというのはキリスト教における「父(神)と子(キリスト)と聖霊」が唯一の振興の対象である、と言う事を意味する単語で、カトリックの儀式では、必ず「父と子と聖霊の聖名のもとに」といったフレーズを合唱します。
パラグアイが南米で最も古い文化の地であることは、これまでも紹介してきましたが、南部エンカルナシオンの郊外には、その名もトリニダ―遺跡(Ruinas de Trinidad)というイエズス会布教の跡を残す壮大な遺構があり、世界文化遺産にも指定されています。
実は先週、在パラグアイ日本商工会議所の運営係にご推挙いただき、これから二年間、商工会の仕事にも関わらせて頂くこととなりました。1975年に発足した歴史あるこの商工会議所は、パラグアイの日本人・日系人組織、パラグアイ政府以下のパラグアイ社会と日本社会との三つとバランス良くお付き合いいただき、会員の生活レベル向上を目指すものであり、別な観点から重要なTrinidadであると言えます。
パラグアイに来て未だ1年にも満たない未熟の身ではありますが、皆様からの御支援・御指導・御協力をお願い致します。
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