2017年12月2日
パラグアイの面積は日本の1.1倍なのに人口が約670万人、日本の約20分の1であることはこれまでも何度かお伝えしていますが、自動車の年間販売台数は日本が約500万台であるのに対し、パラグアイは約23千台と、200分の1以下という数字になっており、この数字だけ見ると、パラグアイが如何に貧しいか、と想像されると思います。
人口対比で言えば、日本では毎年25人に1人が新車を購入しているのに対し、パラグアイでは291人に1人が買ってる計算ですから、物凄く少ない様に見えるのはもっともな話。
この方法で比較すると、中国(28百万台)は49人に1人、米国(18百万台)は18人に1人、ドイツ(370万台)は22人に1人、インド(370万台)は358人に1人、ブラジル(205万台)は101人に1人、アルゼンチン(71万台)は62人に1人、チリ(32万台)は56人に1人、ペルー(17万台)は187人に1人、コロンビア(25万台)は195人に1人と、近隣諸国と比べても、291人に1人しか新車を買えないパラグアイはインド並に貧しい国、という印象を受けます。
しかし、実際の生活実感としては、これまでに住んだベネズエラ・ペルー・ブラジルと比べて、パラグアイが相対的に貧しいという印象は持てません。勿論、クルマの台数だけで経済を推し量るのは無理がありますが、やはりクルマの台数や種類・新しさは国の状態を知る重要なモノサシです。
で、パラグアイですが、上述の23千台の新車販売以外に、日本や米国等から輸入される中古車が10万台以上も販売されていると言われており、この数字を上乗せすると、56人に1人の割合でクルマが消費されている南米の先進国チリ並の自動車購買力があることが判ります。
勿論、中古車ですから、価格も安く状態も悪い。従って全部新車のチリとは比べるべきではないかも知れないものの、今週は中古車の輸入を減らし、新車販売を増やすことを政府が積極的に後押しする政策が発表されました。
その名も「Auto Familiar」(家族のクルマ)で、ブラジルやパラグアイ国内で生産される安価な小型車の新車(ここでは0㎞と呼ばれます)の購入に対して、Banco Nacional de Fomento(国立勧業銀行)が5年=60回の分割払いを支援する、というもの。
📷 大統領府の前で行われた新政策のお披露目式典
実は、中南米に限らず、世界中の多くの国で中古車の輸入販売が行われていますが、南米では殆どの国が中古車輸入を禁止して、環境対策に乗り出している中、1200社とも言われる中古車販売業者が強力なロビー活動を展開するパラグアイでは、中々中古車の販売禁止を政策に盛り込めなかった反面、急激に成長している国内の自動車部品産業を守る目的で、近隣からの完成車輸入を増やす圧力を受けていた政府が切り出した苦肉の策で、これをキッカケに汚い排ガスをまき散らす輸入中古車が大幅に減ってくれることを期待します。
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