2017年4月8日
トランプ政権発足後初の軍事行動としてシリアへの空爆が始まり、世界情勢がまた聊かキナ臭くなってきました。
パラグアイでの先週の国会玄関放火事件は、普段国際メディアに取り上げられることの少ないこの国にとって、皮肉なことに全力を挙げて宣伝に力を入れていたIDB年次総会のニュースよりも遥かに大きな扱いとなって世界中に配信されました。
この事件で、野党事務所に突入した警察が若手リーダー一名を射殺したことで、南米で最も安全と言われるパラグアイが、独裁政権に翻弄されるベネズエラと同様の捉えられ方をされたようにも感じられます。しかし、実際のパラグアイは平穏を保ち、南米一の治安の良さにも揺るぎはありません。
今週行われた交渉テーブル(Mesa de Diálogo)は、大統領の再選を禁じる憲法改正enmiendaに前向きな現Cartes大統領と、2012年に罷免されたLugo元大統領が、夫々の思惑で支持者を増やそうとしていましたが、1954年から35年間続いた独裁政権時代の記憶が残る国民の一部が、ベネズエラや隣国ボリビアで今も続く独裁にイメージを重ねて拒否していると言われる中、野党青党が一人2万~3万ガラニ(約400~600円)の現金でデモ勢力を雇い入れて再選の合法化に徹底抗戦する姿勢を見せており、事態は依然として混沌としていることも事実ではあります。
📷 「クーデター反対」のシャツを着て街頭に出る市民
大統領系の新聞La Nacionでは憲法修正を支持する街頭運動を展開すると報じています。
http://www.lanacion.com.py/politica/2017/04/06/suspenden-marcha-pro-enmienda/
一方、先週末の31日は、カルテス政権が懸命に進めるインフラ投資事業の一つ、アスンシオン空港から市内を結ぶ立体交差Super Viaductoが完成し、本来であれば大々的な落成式典が行われる予定でした。
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この高架が完成したことで、これまでネックとなっていた二つの幹線道路の流れが分離され、我が事務所から空港まで僅か15分以内で到着するようになったのは素晴らしいこと。
今週は、この他にも道路整備の新しい方針が発表され、パラグアイのネックとされた物流インフラの環境改善に向けて、国が真剣に取り組んでいる様子が伺えます。
CÑNことCNNスペイン語放送では、ペルーの首都リマで行われている公共工事の施工主がブラジルのOdebrecht社であり、この会社が賄賂問題で国から訴えられているために工事が大幅に遅れている様子を報じています。パナマでは、国の玄関Tocumen国際空港の拡張工事がOdebrecht社担当の為に、これまた工事が一部中断する羽目になっています。パラグアイでは工事規模が小さすぎたのか、ブラジル系土建会社の影響が少なく、全て順調に進捗していることも、周辺諸国からみれば驚きの事実かも知れません。
再選問題に関しては、まだまだ議論を呼びそうではありますが、現政権が執っている経済促進政策は、確実にパラグアイの地盤強化に結びついており、早く憲法修正問題に終止符を打って、瞬間的に失われた信頼を早く回復して欲しいと感じる週末です。
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