パラグアイの言葉 canciller(カンシジェ)=外務大臣 英:Foreign Minister 葡:chanceler
- Kaz Suzurida
- 2016年12月17日
- 読了時間: 3分
2016年12月17日
インド政府が先月末に最高額紙幣の流通を停止し、大混乱に陥ったニュースは日本でも大きく報じられましたが、ベネズエラのMaduro大統領も先週日曜、突然最高額紙幣(100ボリーバル=約2円)の流通を停止する発表を行い、この一週間紙幣の交換を求める人達で国中がパニックになっていることは、あまり日本では知られていないようです。
思い返せば8年以上前の2008年3月に二度目のベネズエラ赴任を果たした当初、手元のドルをボリーバルに交換するのに、数少ない市内の換金場所である国立銀行の窓口で、1ドルとほぼ同等の価値でボリーバルを入手したものの、あまりの物価の高さに悲鳴を上げ、色々話を聞いてみると国立銀行でドルをボリーバルに換金する人間は皆無で、ほぼ100%の米国紙幣が一般市民によって政府の決めた交換レートを遥かに上回るレートで換金していることに気付いた時、これを最初から教えてくれなかった周囲の仲間達の冷たさを嘆いたものですが、既に当時から貨幣制度の崩壊は始まっており、当時から部外者に平行為替が存在することを教えられない空気が蔓延していたベネズエラが、あれから現在まで不自然な制度を頑なに維持し続けていられることに驚きすら感じます。
これだけでなく、7月末に南米南部共通市場Mercosurの議長国交代を巡って、順番ではベネズエラが議長になる筈だったところ、パラグアイが異議を唱えてブラジル・アルゼンチンが同調し、結果的に議長国の交代は延期され、12月までにベネズエラがMercosur加盟の民主的諸条件を遵守しているかどうかの判断を行うことになっていたものが、結果的に創設4カ国(パラグアイ・ブラジル・アルゼンチン・ウルグアイ)の外相会議で1月から議長国がアルゼンチンに移ることを決議し、外相会議に招かれなかったベネズエラはDelcy Rodriguez外務大臣をアルゼンチンに派遣し、会議場に入ろうとしましたが、結果的に議場前で拒否され、引き返すことになりました。
これらの一連の動きに関して、パラグアイではメルコスル創始国として域内の自由経済を促し、地域の発展を目指す姿勢を強調して、ベネズエラ政府の反民主主義的な姿勢を糾弾してきました。
Eladio Loizaga外務大臣はGustavo Leite商工大臣と並びHoracio Cartes大統領に次いで露出度の高い高官で、小生もパラグアイに来て半年余りではありますが、既に何度かお目に掛かる機会を得て、お話しも伺いまじたが、不健全な政治運営を続けるベネズエラ政府に対する毅然とした態度は、これまでの事なかれ主義に流されて機能不全となっていたMercosurを再生するに相応しい指導力を持った政治家であると感じた次第です。
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ベネズエラの混乱については、学生時代の友人で、経産省出身のアナリストがエネルギー分析の観点からコラムを書いていますので参考にしてください。
日本でもロシアのプーチン大統領の訪日で色々な議論がなされたことが報じられていますが、小国でありながら自国の立場を明確にわきまえ、存在感を現すLoizaga氏のような外交姿勢がみられたのかどうか?興味深く交渉の進展を見守りたいと思います。
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