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  • 執筆者の写真Kaz Suzurida

パラグアイの言葉 calvario(カルバリオ)=十字架の道行き 英:calvary 葡:calvário

聖週間=Semana Santaの最終日がDomingo de Pascua=復活の日曜日、今年の暦では4月4日ということになっています。


何故今年は?というのは、以前もご説明した通り、春分の日を過ぎた最初の満月(今年は3月28日)の次の日曜日、と決められているからで、月齢によって毎年浮動しますが、この日曜日を起点に逆算して40日前から復活祭の各種行事が行われる訳です。因みに来年2022年の復活の日曜日は4月17日になります。


昭和30~40年代には日曜学校というプロテスタントの集会が毎週各地で行われていて、主に小学生以下の子供達を日曜学校=布教の場に呼び寄せる手段として、カラフルに色を塗ったイースターエッグや御菓子が配られ、これをキッカケに讃美歌も覚えて子供時代をキリスト教と共に過ごした経験をお持ちの方も多いと思います。

しかし、宗教と言うのは「苦しい時の神頼み」と言う言葉が象徴する通り、苦しくない時には重視されず、高度成長期から80年代の充実期には仏教を含め多くの教会が形骸的な脱税集金団体と化して、それが益々国民の宗教離れに繋がったというのが日本の宗教に関する一つの現象と言えるように思います。


戦争が終わって皆がまだ貧しいけど、ともかく一流国の仲間入りを果たそうと一億総中流という意識で頑張ってきた昭和中期はまた、戦争が終わってキリスト教という外国宗教がクリスマスやイースター等のイベントと共に日常化した時代でもあり、今の若い世代に比べると、仏教(仏壇)や神道(神棚)も含めた色々な宗教が身近にあったように思います。


一方、原住民を支配する手段としても世界中で使われたキリスト教は、南米では最もポピュラーな宗教として現在も人々の生活に根付いており、特にカトリックの行事はカーニバル・イースター・クリスマスの三大行事以外にも、各国に独自の奇跡にまつわる行事が出来て、各地域で独自の進化を遂げながらも今も多くの人達の信仰を集めています。

日曜日の朝、テレビのチャンネルを捻ると(という言い方自体が昭和ですが)、南米中どの局も教会のミサの中継映像になります。


そんなことで、今日の新聞Ultima Horaで見つけた”Calvario de pasajeros se agudiza y proponen reforma con incentivos”(乗客の道行き環境は悪化して、改善を求める声多数)もてっきりキリストの磔刑までの道のりを示した宗教関連の記事と思いましたが、なんと、以前お伝えした公共バスの非接触型カードが上手く作動しなくて困っている人が大勢出ているというニュースでした。

特にこのセマナサンタの間は新型コロナ対策として昨年同時期並みに外出規制や移動制限が強化されたこともあってバスの便数も大幅に減り、結果としてどのバスも満員状態になって、蜜な状態が増えたと書かれています。

磔の為の十字架を背負わされてゴルゴタの丘(スペイン語でCalvario)を登る道行きには、viacrusisという言い方もありますが、今日のUltima Hora紙はその両方の単語を使ってコロナ禍に苦しむ人々の様子を伝えています。

La solidaridad ante el Covid mitiga el Vía Crucis en los hospitales(コロナ禍に対する結束が十字架を背負った病院関係者の苦しみを軽減する) https://www.ultimahora.com/solidaridad-covid-atenua-el-viacrucis-los-hospitales-n2934390.html

教会の牧師たちが医薬品等の寄付を募って病院関係者と協力する様子。


でも、バスが動いたり、教会の協力があるだけマシという見方もできます。


またまたベネズエラの友人から届いた映像では、ガソリン不足に悩む国営石油会社PDVSAのローリー車を大勢の人力で押して動かしています。70年代から80年代にかけては世界最大の企業の一つで、米国のガソリンスタンドやコンビニセブンイレブンも傘下に置いた大企業がこの有様。これこそが現代の十字架と言えるのかも知れません。


南米で最も豊かだった90年代初頭までは、ベネズエラではガソリン代はタダの様なものでしたから、30年後のこの姿を予想した人は全くいませんでした。


コロナ禍という困難はあるものの、物質的には恵まれた暮らしを享受出来ていられる今の日本も、この状態が未来永劫続くわけではありません。

ほんの70年前は貧しかったということを、朝ドラでも良いので学習して、ベネズエラの様にならない努力を日々重ねていかなければなりません。

これこそが、「他山の石」というもの。

ただ、こんなベネズエラですが、先月の東北震災十周年に際して、今でも皆を応援してるよ!という熱いメッセージが届いていました。

演奏メンバーの多くは目が見えない等の障がいを抱える人達、しかも悲惨な暮らしの中から、こんな素晴らしい日本語の応援を送ってくれる。

地球の裏側にも大勢の仲間がいます!

この機会に被災地の、そしてベネズエラの復活を祈りたいと思います。

Feliz Pascua!!

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